2017年5月6日土曜日

溶融塩発熱所


電気を貯めることは困難だが、熱を貯めることは比較的簡単だ。だから、発電所よりも発熱所にした方がよいケースは存在するだろう。これには二つ考えられる。一つは、発電自体が不安定な、太陽光発電や風力発電などの自然エネルギー発電だ。もう一つは、負荷による出力調整が困難な原子力発電だ。
風力発電では、既に似たような機構が開発されている。それは発電が主で発熱は従なのだが、最初から発熱を目的に作れば、構造は簡単になり、効率も上がるだろう。また、原子力発電では、一旦溶融塩に熱を移し、パイプで誘導してプールに貯める。発電は、再びそこから溶融塩を運び出して蒸気を沸かす。従来の原子力発電は、揚水発電所を併設したりしていたものだが、これを溶融塩プールにする、という具合である。
一旦電力にしてから再度ポンプで水をくみ上げるのより、熱のまま保管した方が簡単で効率も高いのではないかと思う。また揚水発電よりも土地の使用効率は高いだろう。更には、発熱方法を複数用意して、相互補完することもできる。原子力と火力の組み合わせは正に適切だ。
細かい出力変動に対応する必要がないので、発熱所は機構も単純にでき、結果として事故も起こさず効率も高くなる。また、発電所を原発から離して作ることもできるし、将来的に増設する場合も、溶融塩パイプの引き回しを変えることで対応できる。ちょうど溶融塩プールがバッファになる格好だ。
欠点として考えられるのは効率で、どれだけ熱の漏洩を防げるかが鍵になる。真空断熱などは理想だが高価だし、補修費も掛かる。敷地が増えれば漏れも大きくなる。発電効率の向上や安全性、負荷変動対応の有利などから、総合的に検討されることになるだろう。

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