2017年5月27日土曜日

フォース・コミュニティの充実


人間の幸福度は、人との関わりで決まるところが大きい。家族や友人など、気兼ねなく話せる人が多数いることは、幸福度の大きなファクターである。
人のコミュニティの種類というのは、昔からさほど変わらない。家庭、職場(学校)、地域、その他(趣味・ボランティアなど)だ。細かく言えば学校には部活動があるとか、地域でも近所付き合いと町内会では少し違うが、基本的にはそう変わるものではない。
このうち、最初の三つは半強制的な関係であり、自分の意思で自由に出入りできるのは第四の「その他」での集まりである。これは、近年の個人主義とSNS等の発達により、オンラインでのコミュニティは飛躍的に発達した一方、実社会でのコミュニティは衰弱したように思える。
オンラインでのコミュニティは社会的なルールが自然には適用されないし、一般論に囚われない極端なコミュニティが形成可能である。このため、「LINE疲れ」のような言葉もあるように、まだ落ち着ける場所にはなっていないのではないかと思う。人付き合いが苦手だからオンラインに逃げる、というのが初期の風潮だったが、オンラインの方がもっと酷かった、でも現実に戻る気もないので結局オンラインで神経をすり減らすだけ、というのが現状ではないだろうか。
もっと実世界の常識を自然に組み込めるようになれば、距離の壁を越えたり匿名性を確保したりという有利を十分に生かし、幸福度の向上に貢献できるように思う。ここで言う実世界の常識とは、面等向かった際に人が自然に行う配慮そのものだ。特定の場所に現れない人には話しかけない、言葉遣いに気をつける、生活時間帯を配慮する、といった社会常識的なマナーだ。
これに近い存在と言えるのが、Oculus Roomsだ。ただ喋ったり一緒にゲームをするだけしかできず、まだこれだけでは不足だが、取っ掛かりとしては有望と言える。後は、アバターの顔や仕草をリアルにして、入退室のアクションや天気・時刻の反映など、現実世界の情報をできるだけ取り込むことで、人は自然と社会的ルールを守るようになる。
技術的な仕掛けとして是非欲しいのは、本人のアイデンティティを残しつつも個人情報を廃する技術だ。チャットでも音声でも、本人が不用意に個人情報を発言すると自動的に削除や変換をしてくれるようなツールだ。これを機械が保証してくれるなら、後に引く心配がないので気兼ねなく入退会ができる。これこそが現代社会におけるオンラインコミュニティの重要事項だ。また、誹謗中傷や個人情報を尋ねる、金品を要求するなどを抑制する仕掛けも欲しい。これは言葉を発した人に警告が表示されるようにする。
他にも、コミュニティの存在を外から緩く知ることができる、あるいは試し入会ができる、というのも重要だ。これも、コミュニティ内の人の宣伝だけでなく、中の様子をある程度抽象化した上でAIが公平に評価してくれると嬉しい。例えばコミュニティ内で皆に嫌われている人やネグレクトされている人の存在、主な活動時間帯、連動する実コミュニティがあるかどうか、性別・年齢層分布、入退会の頻度や量などだ。
まだ色々とほしいものはある。例えばダンスや楽器のサークルを作るには、それも含めて仮想化しなければならないから、今のHMDによるVRやARだけではダメだ。HMDを被りつつも本人の全体を撮影し、更にそれをCGに変換してコミュニティスペースに投影するようなことをする必要がある。模型のサークルなどは、模型自体はリアルに投影して、人物を抽象化するような技術も必要だろう。これがアウトドアスポーツになると、どうすればよいのか検討もつかない。
個人宅にそれらの装置を備えるのは、まあ不可能ではないにしても少し敷居が高い。カラオケボックスのようなレンタルルームにTV会議兼バーチャルコミュニティ用スペースを備え、1時間幾らで貸し出すのがよいように思う。趣味に合わせてエクストラな道具や仕掛けを備えるのもよいだろう。

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