2017年5月25日木曜日

メイドロボットと家の変化


技術が進むと、従前の組織や仕掛けそのものがなくなってしまう、意味がなくなってしまう、意味が薄くなってしまう、という現象が起こる。近年ではレジ打ちがPOSになったり、ビデオレンタルがVODに駆逐されたりした例がある。
人間、従前通り動くのが楽なものだ。IoTだ改革だと騒いでいても、自分の仕事が楽になるのではなく無くなってしまうのなら願い下げのはずだ。だが、その流れが変わるわけでもない。変に従前のものに気を使って中途半端になってしまうと、新興に乗っ取られることになる。音楽配信の主導者がSpotifyやAppleであってレコードレーベルではない、VODがNetflixやHuluであって映画会社ではない、というのは、その悪い見本だ。
進化論で言う、「生き残るのは強いものではない、変化する環境に適応できるものだ」というのがよく分かる。今後も技術の進化で不要な職業が出てくるだろうが、どう変わり身速く次の時流に乗るかが生き残る鍵になる。
ただ、AIとロボットが発達した未来において、それは必ずしも暗い話題ばかりではない。メイドロボットに身の回りの世話をさせ、ロボットレイバーに仕事をさせて稼がせ、自分は悠々自適、ということだって夢ではない。
そんな時代、例えば洗濯機のボタンをどうデザインするかという問題は、メイドロボット前提とするとあまり意味がない。どんなにUIを複雑にしようとも、どんなにダサいデザインでも、使いこなしてくれる。もっと言えば、洗濯機そのものが必要ないかも知れない。手洗いの面倒さをメイドロボットが感じるはずはないからだ。
人間が扱う前提で作られた機械の多くは、その使い勝手の向上と機能性能の向上の両方で進化を遂げてきたわけだが、今後は前者が不要になる、ということが言えるのではないか。となると、機能として本質的な部分は残し、場合によってはそれが共通するなら融合する可能性は出てくるわけだ。
上の洗濯機で言えば、浴槽ないしは洗面台と兼用になる可能性は否定できない。調理家電の多くは、同時並行という課題も含めて不要になる可能性が高い。収納の類も、同様の理由でだいぶ整理されるはずだ。荷物の出し入れに苦がなくなるから、奥に押し込んだものでも天袋にしまい込んだものでも無駄なく使えるし、どこに何があるかはメイドが知っているから、忘れて二重に買ったり、消費期限を越えて食料をダメにしたりということもなくなる。
他にも、布団の上げ下ろしが苦でなくなるなら、普通のベッドではなく折りたたみ式簡易ベッドの方がスペース効率が高い。散らかしたテーブルの片付けをメイドがやってくれるなら、勉強机とダイニングテーブルを兼用にすることもできるはずだ。
こうなると、家に余計なものがなくなり、広く使えるようになる。財布にも優しくなる。もちろんメイドロボットの費用は掛かるわけだが、相応の価値はある。感覚的には二百万円くらいだったら触手が動くだろう。
なお、ダメ人間になってしまう、結婚から遠のく、という可能性は否定しない。一方で、独居老人や障害者、病気怪我人などには強い見方になるだろう。

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